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2020.4.30

君が代で不起立 元教諭逆転勝訴 東京高裁

 3月26日の朝日新聞朝刊に載った記事です。同日の日本経済新聞にも同様の記事が載りました。当事務所の和久田修弁護士、戸田綾美弁護士、萱野一樹弁護士ほか2名の弁護団が10年以上にわたって取り組んできた憲法訴訟です。

 東京都立学校の2009年3月の卒業式で君が代斉唱時に起立せず「君が代」を斉唱しなかった元教諭に対して、東京都教育委員会が停職6ヶ月の懲戒処分を行いました。

 元教諭は、「日の丸」「君が代」の歴史やその意味を生徒たちに教えず問答無用に「君が代」の斉唱を強制することは教育者としての信念に反するとして起立・斉唱しなかったのです。裁判では、憲法で保障された思想・信条の自由や教育の自由を侵害するのではないか、停職6ヶ月という懲戒処分は懲戒権の濫用に当たるのではないかが争われました。

 東京地裁は元教諭の訴えを棄却しましたが、東京高裁は停職6ヶ月という懲戒処分は懲戒権の濫用にあたるとして地裁判決を破棄して処分を取り消したのです。元教諭と同じ考えから起立・斉唱しなかったために懲戒処分を受け、裁判で争っている教諭は全国にたくさんおられます。今回の高裁判決がその方々を少しでも勇気づけるものになればと思っています。

 少し古くなりますが、2017年3月号の法学セミナーの最高裁判決特集に、萱野弁護士が日の丸・君が代訴訟の内容をわかりやすく解説しているのでそちらも参考にしてください。